cross
talk
02
CROSS TALK02
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン 座談会
多様性がもたらす視点と
アイデアを
未知の問題に
挑む創造性の源とする
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2014年入所、留学及び国連女性機関(UN Women)での勤務を経て、2025年復帰。西村あさひでは、DE&I推進委員会委員、サステナビリティ研究会幹事。DE&I、ジェンダー、人権、サステナビリティ等の分野を広く扱っているほか、学会での研究発表や企業との共同研究等、調査研究活動にも取り組む。 -
2015年入所、2019年より名古屋事務所にて執務。東海地域のお客様からのご相談を中心に、企業法務全般に幅広く従事。また、M&Aや不動産投資案件などのクロスボーダー案件での経験を活かし、国内外のコーポレート案件全般にも従事。 -
検察官を経て2024年弁護士登録、西村あさひ入所。検察官として企業犯罪などの捜査・公判に従事した経験を活かし、危機管理案件に幅広く従事。また、米国留学の経験を活かし、国内の不祥事対応のみならず、海外の不祥事対応にも従事。 -
2022年入所。国内外のクロスボーダーM&A案件、上場会社によるオーナー企業の株式取得案件、上場会社同士の組織再編・経営統合案件などのM&A案件に関与。韓国企業の対日本投資及び日本子会社におけるジェネコ案件にも複数関与。 -
2019年入所(ハノイオフィス)、2024年ベトナム法弁護士登録。2025年7月から東京オフィスで執務中。一般企業法務案件を中心に、労働法や競争法などの案件にも関与。日本への留学経験を有し、リーガルプラクティスのみにとどまらない日本文化への造詣も深い。
はじめに
細谷:
この企画は、⻄村あさひの「挑戦とイノベーション」というDNAを⽀えるDE&I(Diversity, Equity & Inclusion)について、⻄村あさひへの⼊所を考えている皆様により詳しく知っていただくべく、様々なバックグラウンドを⽣かして⻄村あさひで活躍する若⼿弁護⼠へのインタビューを⾏おうというものです。
インタビュアーは、⻄村あさひのDE&I推進委員会の委員を務めています、68期弁護⼠の細⾕夏⽣です。
私は、2016年1月に西村あさひに入所し、米国ロースクールへの留学と国連女性機関(UN Women)での執務を経て、現在はDE&I・ジェンダーや人権、サステナビリティの問題を広く扱っています。
事務所全体のDE&I推進を担当するDE&I推進委員会の発⾜時から委員を務めています。
この企画では、私が4名の弁護⼠に、⻄村あさひを選んだ理由、実際に⼊所してみてどのように感じたか、⼊所後に各弁護⼠がその能⼒をどのように発揮しているかなどについて聞いていきたいと思います。
紅村真美子弁護士
(名古屋オフィス執務 2度の出産育児休業を経験)
細谷:
本日はよろしくお願いいたします。紅村先生とお会いするのは、お互いがジュニアアソシエイトだった時代の若手女性弁護士懇親会以来ですね。まずは自己紹介をお願いできますか。
紅村:
69期弁護士の紅村真美子です。2016年12月の入所時は東京オフィスで執務を開始しましたが、2019年から名古屋オフィスで執務を開始し、現在も同オフィスで執務をしています。プライベートでは育児に奮闘する2児の母です。
名古屋オフィスでの執務
細谷:
ありがとうございます。初めに名古屋オフィスに移って執務をすることになった経緯を教えてください。
紅村:
私は名古屋市の出身であることから、名古屋オフィスがあることは西村あさひへの入所を決めた大きな理由の1つでした。実際に名古屋オフィスで執務を開始したのは、夫の仕事の都合上、名古屋に居住する必要があったためです。入所3年目の時だったのですが、周囲の先生方に事情を伝えて相談したところ、親身になって相談に応じていただき、名古屋オフィスに移って執務をすることになりました。私は、拠点の垣根を越えてコラボレーションの機会が豊富な西村あさひの特性を活かして、入所直後から東京オフィスのコーポレート案件をメインで担当しつつ名古屋オフィスとの協働案件を担当していたため、名古屋オフィスに移って執務をすることはスムーズにできました。
細谷:
東京オフィスではコーポレート業務に従事されていたとのことですが、名古屋オフィスに移った後はどのような業務を担当していますか。また、出産育児休業の取得前後で担当する業務の変化はありましたか。
紅村:
名古屋オフィスの特徴・魅力は、幅広い案件に関与する機会に恵まれていることや継続して案件をご依頼いただくクライアントが多いため、クライアントと接する機会が多いことです。東京オフィスに比べて名古屋オフィスは所属する弁護士の人数が少ないので、各弁護士が対応する案件の幅が広いです。私は、名古屋オフィスに移った後、東京オフィスで執務をしていた頃には経験のなかった危機管理案件を初めて担当しました。限られた人数の弁護士で多くの案件に対応するため、東京オフィスで執務をしていた頃と比べて、クライアントと直接接する機会も増えたとも感じています。また、私はこれまでに2回の出産育児休業を経験しています。最初の休業は名古屋に移った後1年程経った頃に約10か月取得しました。出産育児休業を取得するまでの間は、東京オフィスでの案件を引き続き担当しつつ、名古屋オフィスの案件も担当するという形でした。出産育児休業から復帰後は、名古屋オフィスの案件がメインとなり、危機管理案件やジェネラルコーポレート案件などを担当し、復帰から約1年半後に2回目の出産育児休業を約1年半取得しました。2回目の出産育児休業からの復帰後は、名古屋オフィスのジェネラルコーポレート案件の他に米国の不動産投資案件や海外M&A案件等を担当しています。
細谷:
2回の出産育児休業の取得という点に関連して、キャリアとご家族のケアはどのように両立していますか。
紅村:
私は出産後比較的長く育児に専念する時間をとりたいと考えていたところ、西村あさひはそのような私の意向を尊重してくれたので、合計2年半程度の出産育児休業を取得することができました。休業中は育児に専念することができ、今振り返っても私の人生においてとても大切かつ有意義な時間だったと思っています。復帰後の両立については、1度目の出産育児休業からの復帰後現在まで、西村あさひの執務時間調整制度を利用しています。執務時間調整制度は、読んで字のごとく、弁護士個人の事情に基づいて執務時間を調整するための制度で、設定した執務時間外は他の弁護士に担当案件の対応を引き継ぐことができます。私の場合は9時から17時までを執務時間として設定していますが、限られた執務時間の中でも様々な案件を担当し、とても充実した日々を過ごしています。弁護士の職務の性質上、執務時間を区切ることは難しい場面もありますが、執務時間外は同じ案件を担当している先輩・後輩弁護士に対応を引き継いでもらうなどして、案件に支障が出ない体制を整えています。執務時間調整制度を実際に利用するまでは、執務時間を限定することによって面白い案件を担当することができなくなったりクライアント対応の窓口を任せてもらえなくなったりするのではないかと心配したこともあったのですが、実際にはそういったことは全くなく、チャレンジングな案件も多く担当しています。
家族のケアとキャリアの両立
細谷:
西村あさひには家族のケアとキャリアを両立している弁護士も多くいますが、出産前後でいわゆるワークライフバランスの点で変化したことはありますか。
紅村:
出産前は、仕事中心の生活で余った時間をプライベートに充てるという発想で働いていたので、ワークライフバランスがその時の業務状況に応じて流動的でした。出産後は、育児のために一定の時間を確保することが必要となったため、ワークライフバランスが比較的固定化したことが大きな変化でした。
細谷:
なるほど。出産前後のワークライフバランスを数値で表現していただくとどのような感じになるでしょうか。
紅村:
うーん…(しばし考える)。ワークライフバランスを具体的な数値で表現することは難しいのですが、実際に費やしている時間というよりも私自身がワークとライフにそれぞれどの程度の比重を置いているかという意味で数値化すると、出産前は9:1程度だったのが、出産後は5:5程度になったという感覚です。
細谷:
執務時間調整制度についてももう少し伺いたいのですが、実際に制度を利用してみて感じたことを教えてください。
紅村:
最近では比較的若い年次で出産して執務時間調整制度を利用する弁護士も増えていると感じています。また、男女問わず、育児に積極的に参加している弁護士が増えていることもあり、執務時間調整制度を利用していない弁護士であっても、家庭の都合で特定の時間は業務対応が難しい場合があることが周囲の弁護士から理解されていると感じています。働き方の選択肢が増えている中で、私自身は、執務時間に区切りを付けた上で、執務時間は仕事に集中し、執務時間外は家庭に集中するというメリハリのある働き方が、今の自分のライフスタイルに合っていると思っています。
細谷:
今後のキャリアについてはどのように考えていますか。
紅村:
子供がもう少し大きくなるまでは、今のスタイルで執務を継続したいと考えています。キャリアと家庭の両立の観点から、執務にどの程度時間を割くことができるかは人それぞれであることは事務所も理解してくれていると感じており、執務時間調整制度をいつまで利用するか等、具体的な働き方については、一緒に働いている弁護士達と相談しながら考えていきたいと思っています。名古屋オフィスに移籍して以降、業務の幅も広がりチャレンジングな案件も多く担当することができて、大変なこともあるものの大きなやりがいを感じています。これからも東海地方のクライアントに最良のリーガルサービスを提供し続けられるよう、幅広い案件に挑戦し、弁護士として成長できたらと考えております。
これから西村あさひに入所することを
検討している方に向けてメッセージ
細谷:
ありがとうございます。最後に、これから西村あさひに入所することを検討している方に向けてメッセージをお願いします。
紅村:
西村あさひには家庭の事情も含めて様々な状況の弁護士が在籍しており、それぞれ事情がありながら皆でカバーしあって案件に対応しています。人生には何があるかわからない中で色々な選択肢があることはとても大事だと思っています。どんなことが起きても頑張れる環境があることが、私が西村あさひに入所することを決心した際の大きな要素だったのですが、その選択は正しかったと思います。頑張りたいと思ったタイミングで頑張ることができる環境はとても大事かつ貴重なので、キャリアも家庭もどちらも大事にしたいと考えている方にはぜひ西村あさひでチャレンジしていただきたいなと思っています。
中村洋輔弁護士(検察官から弁護士に転身)
細谷:
本日はよろしくお願いいたします。中村先生と私は同じプラクティス・グループに所属していますが、こうしてご自身のことをお伺いする機会はなかなかないので、楽しみにしていました。まずは自己紹介をお願いします。
中村:
69期の中村洋輔です。私は2016年から2024年までの間、検察官として刑事事件の捜査・公判に従事していました。2022年の夏から1年間は、米国のロースクールに留学し、検事として在外研究を行っていました。2024年4月に弁護士に転向し、西村あさひに入所したので、約1年半ほど西村あさひに在籍していることになります。プライベートでは、6歳と0歳の子どもを育てる父親です。私と配偶者の実家はいずれも遠方なので、子育てや家事は基本的に配偶者と私でこなしています。週末などには家族で過ごす時間を大切にするように心掛けています。
転身の経緯
細谷:
ありがとうございます。検察官からの転身ということですが、数ある法律事務所の中から西村あさひを選んだ理由を教えてください。
中村:
弁護士業務の中でも危機管理分野を自分の専門としたかったためです。前職では様々な刑事事件の捜査や公判を経験しましたが、公務員ということもあり自分でどのような仕事をするか選ぶことができませんでした。米国のロースクールに留学し、一旦現場から離れたことを契機として、今後どのような働き方をしたいのかを考えた結果、自分の専門分野を持ちたいと考えるようになり、弁護士への転向を意識するようになりました。
検察官経験を最大限に活かせる分野を探した結果、危機管理という分野があることを知り、この分野であれば即戦力として活躍できるのではないか、或いはこれまでの経験を活かしていけるのではないかと考えました。私は、元々検事を志望したときもそうだったのですが、推理小説や刑事ドラマが好きで、真相を解明というか事実を発見していくというプロセスに面白みを感じていたこともあり、不正調査を中心とする危機管理分野を専門にした弁護士になりたいと考え、危機管理分野に一番強い法律事務所ということで西村あさひへの入所を決めました。
細谷:
ありがとうございます。実際に入所してみて、西村あさひの特徴はどのようなところにあると思いますか。
中村:
西村あさひは各プラティクスの中だけで完結するのではなく、プラクティス・グループの垣根を越えて受任した案件を適切に処理するために最適なチームを構成して対応します。そのため、私のように現時点では特定の分野に専門性を有する弁護士であっても、多種多様な案件に関与し、対応の一端を担うことができ、かつ、協働を通じて専門分野外の知見も広げられる点は大きな特色であり魅力だと思います。
細谷:
なるほど。所属している人という面ではどうでしょうか。
中村:
西村あさひにはとにかく色々なタイプの弁護士が所属しています。どのような人材も受け入れる懐の深さがある事務所なので、前職経験の有無にかかわらず、自分自身のスタイルを確立していきたいと考える人には良い環境だと感じています。また、多彩なキャリアを持つ弁護士が多く在籍しているので、様々なロールモデルを間近で見ながら、自分のキャリアを考えることができる点も西村あさひに入所して良かったと思っていることのひとつです。
西村あさひでの担当案件とやりがい
細谷:
その点は私も日々感じているところで、まさにDE&Iですね。次に、検察官時代と現在で、仕事がどのように変わったかを教えていただけますか。
中村:
検察官時代は、公職選挙法違反事案、官製談合事案、金融商品取引法違反事案、特別背任事案、業務上横領事案等、企業・組織が絡む様々な事案の捜査・公判に従事しました。弁護士に転身し、西村あさひに入所した後は、国内外の不正調査や不正行為を行った従業員に対する刑事告訴対応、営業秘密の持ち出し事案、品質不正事案、証券会社における相場操縦事案等、様々な危機管理案件を幅広く担当しています。入所直後は前職の経験がそのまま生かせる案件を担当することが多かったのですが、最近では不正行為を行った従業員に対する民事訴訟を担当するなど、担当する案件の幅が徐々に広がってきています。
細谷:
そうなんですね。先ほど、検察官時代は自分でどのような仕事をするか選ぶことができなかったとおっしゃっていましたが、西村あさひではどうでしょうか。
中村:
西村あさひはとても自由度が高く柔軟な組織だと感じています。どの案件を担当するかは、案件ごとに担当パートナーと直接相談して決めているため、自分のキャリアを自分でデザインすることができているという実感があります。
細谷:
確かにそうですね。中村先生は、検察官時代の経験が西村あさひで働く上で役立っていると感じる場面はありますか。
中村:
前職では、事件関係者や被疑者の取調べを数多く担当し、様々なタイプの人と接してきました。不正調査案件では、関係者や調査対象者に対するヒアリングを多く担当しており、前職での経験がダイレクトに活きています。前職での経験から、「この人は、このような接し方をすれば気持ちよく話をしてくれるだろう(=供述を引き出しやすいだろう)」というのが感覚的に分かるため、ヒアリング対象者に最も適した態度で対応することができていると思います。また、危機管理案件では、捜査当局の対応が求められる場面が多くあるのですが、そのような場面で依頼者に助言する際には、事前に十分なリサーチを行うことはもちろんですが、むしろ、文献等には記載されていない捜査機関の実務的な感覚や考え方を依頼者にお伝えすることで、付加価値を出すことができていると思います。
細谷:
反対に、検察官時代は経験がなかった業務を担当することもあるのではないかと思いますが、そのような場面で感じる難しさや乗り越え方の工夫はありますか。
中村:
前職では国際的な案件を担当する機会はありませんでしたが、現在は全体の半分近くが何らかの形で海外が関係する案件を担当しています。私は米国のロースクールに留学した経験はあるものの、英語で仕事をした経験はなかったので、西村あさひでは通常業務の一環として行われている英語インタビューや、海外の依頼者・法律事務所とのコミュニケーションは、私にとってはチャレンジングでした。そのような案件においては、ネイティブスピーカーの外国法弁護士と共同で対応したり、先輩や同僚に相談しつつ必要に応じて事前にドラフトを確認してもらうなどして、私自身の知見に基づくコメントを日本語以外の言語でも正確に伝えられるよう工夫しています。簡単なことではありませんが、「習うより慣れろ」だと思っていますので、多彩な周囲のサポートを受けながら、これからも挑戦を続けていきたいと考えています。
これから西村あさひに入所することを
検討している方に向けてメッセージ
細谷:
最後に、中村先生と同じように、異なる職種・環境から西村あさひに加わることを考えている人に向けて、一言メッセージをください。
中村:
他の環境から弁護士になろうと考えている人にとって、事務所選びが大きな課題になると思います。西村あさひには様々な分野のスペシャリストがそろっており、その中で切磋琢磨しながら仕事をする中で自分自身の能力やスキルも高めていくことができるので、環境を変えてキャリアアップしたいと考えている人にとってはとても良い環境だと思います。
イ・ソン弁護士(韓国法プラクティス・グループにも所属)
細谷:
本日はよろしくお願いします。初めに自己紹介をお願いします。
イ:
75期弁護士のイ・ソンと申します。私は韓国出身で、高校までは韓国で育ちましたが、大学から日本に居住しており、日本で司法試験を受け、日本法弁護士になりました。
西村あさひに入所を決めた理由
細谷:
イ先生が西村あさひに入所を決めた理由を教えていただけますか。
イ:
18歳で来日した際は、法曹になりたいとは思っていたものの、韓国と日本どちらの法曹資格を目指すかは明確に決めていませんでした。その後、日本のロースクールに進学し、日本法弁護士を目指すことを決めました。日本法弁護士となるのであれば日本の法律事務所で日本出身の弁護士と同様の指導を受けて実務を経験したいと考え、まずはいくつかの日本の法律事務所でインターンをしました。インターン先によっては、入所後韓国法プラクティスを経験できるとして、同プラクティスの業務を体験する機会を確保してくれた事務所もありましたが、当時の私は、自分の出身によって扱う法分野を限定するのではなく、広く日本法弁護士としてのキャリアを積みたいと強く思っていました。
西村あさひでインターンを行った際は、韓国法プラクティスに限らず様々な業務分野・地域を専門にしている先生方に会う機会をもらい、私のキャリアプランを理解してもらえる事務所であると感じました。また、西村あさひは、特に若手のうちに、一つの業務分野・地域に制限されない多様な経験を積み、それをキャリアの成長に繋げることができる事務所であるとも思いました。インターンの際に、入所後に一緒に働くことになるコーポレートチームの先輩弁護士たちに会い、指導を受けたいと強く思ったため、西村あさひに入所することを決めました。
韓国法プラクティス・グループ案件も担当するようになった経緯
細谷:
そうだったのですね。では、実際に入所した後、どのような業務を担当しているかについても教えていただけますか。
イ:
入所後2年間の「指導担当パートナー制度」の適用期間中は、日本法弁護士としての基礎的な能力を伸ばすべく、韓国法プラクティスの業務にはほとんど関与せず、コーポレートチームの若手弁護士が経験する一般的な案件に関与しました。その中には、国内非上場会社の総額数百億円の買収案件、国内上場会社の総額一千億円以上の買収案件、5か国にまたがる総額数百億円以上の投資案件等、西村あさひだからこそ経験できる大規模かつグローバルな案件も多くありました。
そのような中、韓国の身内に不幸があったことを契機に、18歳で来日して以来、常に私を支えてくれていた家族との絆や自分のルーツを再確認し、自分の出自や経験、それらに基づく暗黙知を弁護士としてのキャリアに生かすことを考えるようになりました。それをきっかけに、所内で韓国法プラクティスを担当されている弁護士に対して同プラクティスの案件に参加したいという意向を伝え、所内の勉強会等に出席するなどして、基礎的なリサーチや法令調査の方法等を勉強した後、実際の韓国法プラクティス案件を担当するようになりました。
細谷:
韓国法プラクティスとして具体的にどのような案件があるのでしょうか。また、韓国法プラクティス案件に関与するようになり、どのように感じていますか。
イ:
一口に韓国法プラクティスと言っても、その内容は多岐にわたります。クライアントが韓国企業の場合もあれば、日本をはじめその他の法域を拠点とする企業の場合もあります。内容としても、ジェネラルコーポレートと呼ばれる一般的な企業法務に関するものから、労働法等特定の法分野に関するものまで幅広い案件があります。韓国法プラクティス案件に関与するようになってからも、業務の軸足は所属するコーポレートチームの日本法に関する業務においていますが、韓国法プラクティスの案件については、特に自分自身のキャリア形成という観点を意識して参加することができていると感じます。具体的には、日本法弁護士として、日本と韓国をまたぐM&Aや企業法務を、自分自身の弁護士としてのPRポイントの一つとしたいという気持ちで案件に関与しています。
キャリアプランに対する考え方
細谷:
なるほど。入所時は出身地にとらわれずにキャリアを積みたいと考えていたところ、途中でご自身のバックグラウンドも生かして韓国法プラクティスに関わるようになったとのことですが、キャリアプランの作り方についてどう思いますか。
イ:
弁護士としての生き方には正解があるわけではないところ、私のように途中でキャリアプランを見直すことや、プライベートの状況が変化することは誰にでも起こり得るので、それに応じて柔軟に業務内容やキャリアプランを調整することができる環境にいることが重要だと感じています。
細谷:
複数の法域にまたがって仕事をする中で、法域による違いを感じることはありますか。
イ:
異なる法域のプラクティスに関与することにより、その法域のプラクティスのみならず、日本法の理解も深まっていると思います。
日本法と韓国法を例に挙げると、元々、抽象的には、日本法と韓国法は類似する面が多いと思っていたのですが、韓国法プラクティスに関与し始め、具体的な実務上の経験を経て、意外なところで日本法と韓国法が類似しないこともあることに気が付きました。
例えば、解雇をめぐる労使間の紛争において、日本や韓国では労働者保護の観点から労働法制が発展してきた経緯があるため、日本法及び韓国法のいずれの法域においても、企業は労働者の解雇のハードルが非常に高いことに理解を示すことが共通しています。
一方で、現時点の制度としては、日本では退職金支払いは企業の義務ではないところ、韓国では、企業は、1年以上勤続していた労働者が退職する場合には法定額の退職金を給付する義務を負い、たとえ懲戒解雇の場合であっても退職金を支払わなかったり減額したりすることはできません。したがって、解雇案件において、日本で事業を展開する韓国企業に対しては退職金を当然に支払う義務はないこと、韓国で事業を展開する日本企業に対しては退職理由によらず退職金を支払わなければならないことを、それぞれアドバイスすることになります。
法域が違えば異なる面も多々あるので、その差分を理解してこそ、いずれの国のクライアントにも寄り添って効率的かつ的確なアドバイスができるものと考えております。また、異なる法域の案件に関与し、それぞれの理解を深めることで、日本法の企業法務弁護士として日々成長していると感じています。今後も、これまでの経験を活かしつつ、様々なことに挑戦するキャリアを開拓していきたいと思います。
これから西村あさひに入所することを
検討している方に向けてメッセージ
細谷:
最後に、イ先生のように日本法以外の法域の業務にも挑戦したいと考えている人に向けて、一言メッセージをください。
イ:
やりたい気持ちをためらわずに周りに伝えることが重要です。誰かが何かをやりたいと手を挙げたり声を上げたりすれば、一緒にチャレンジする同志や、チャレンジをサポートしてくれる人がすぐに集まる環境、それが西村あさひです。
Le Bich Nga弁護士(ベトナム法弁護士)
細谷:
まずは自己紹介をお願いします。
Nga:
Le Bich Ngaと申します。私はベトナム法弁護士です。西村あさひのハノイオフィスで約6年間執務した後、2025年7月から1年間の予定で東京オフィスで執務しています。現在は主に一般企業法務案件を担当しており、労働法や競争法などの案件にも関与しています。
西村あさひに入所を決めた理由
細谷:
ありがとうございます。早速ですが、Nga先生が西村あさひへの入所を決めたきっかけを教えてください。
Nga:
私は日本への留学経験があり、2019年に日本の大学で修士号(LL.M.)を取得しました。留学時に日本の文化や企業法務の実務に触れ、ベトナムにおいて大きな存在感を放っている日系法律事務所への就職を考えるようになりました。私は自分の弁護士としてのキャリアを考えた際に、若手のうちからハイレベルな環境で自分の能力を伸ばしたいと考えていたので、アジアを代表する法律事務所として、ベトナムにおいても幅広い分野において高い水準のリーガルサービスを提供しているとの評価を確立していた西村あさひへの就職を希望しました。西村あさひでは若手のうちからグローバルファームとしての国際的な視点と様々な法域の優秀な弁護士と協働する機会を得られることはとても魅力的でしたし、西村あさひが日系の大手法律事務所の中で最も早くベトナムに進出した事務所であったことも入所を決める理由になりました。入所から7年が経ちますが、西村あさひは常に私が期待している環境を与えてくれています。
東京オフィスで執務して感じたこと
細谷:
Nga先生は2025年7月から東京オフィスで働いているとのことですが、西村あさひの異なる拠点で働くことについて、どのように感じていますか。
Nga:
初めて日本で働くに当たり、一緒に働く弁護士・スタッフや事務所から多大なサポートを得ています。私の執務席は東京オフィスのベトナムチームの弁護士・スタッフの執務席が集まっているエリアにあるのですが、ハノイオフィスで働いていた際にオンラインで協働していた人たちと直接一緒に働くことができているのは、素晴らしい経験です。何かあればすぐに同僚の執務室を訪れて、業務上の相談はもちろん、ちょっとした雑談なども気軽にできる環境も、とても良いと思っています。また、東京オフィスでは私と同じように外国法弁護士として働く多くの同僚と知り合えたことも大きいです。私の現在の執務室には、私以外にもニューヨーク州法弁護士とオーストラリア法弁護士がいます。それ以外の外国法弁護士も含めて、法域や第一言語は様々ですが、出身地を離れて東京で働いているという共通点があるので、日々の経験や課題を共有しながら、モチベーションを高め合うことができています。
細谷:
それは様々な国・地域に拠点を有し、弁護士の原資格国も多岐にわたる西村あさひだからこそできる経験かもしれませんね。
Nga:
はい。弁護士同士のつながりに加えて、スタッフの専門的かつ献身的なサポートも、私が東京オフィスで働くにあたってとても大きな支えになっています。西村あさひのスタッフは、所属部署や職種を超えて協力し、私を含む弁護士の業務を強力にサポートしてくれています。業務上のサポートはもちろん、「調子はどう?」「オフィスには慣れてきた?」などと日常会話の中でこまめに気にかけてくれることも、ありがたく思っています。
細谷:
それは良い関係ですね。他に職場環境という点で西村あさひの良さを感じる場面はありますか。
Nga:
私は、西村あさひがDE&Iの推進に積極的に取り組んでいることがとても良いと思っています。西村あさひでは、DE&Iの推進が単なるスローガンに留まらず、実際に組織の中に浸透していて、全ての人のバックグラウンド、スキル、視点などが尊重されています。具体的には、多様なメンバーで構成される案件チームにおいて、立場に関わらず全ての意見が真摯に受け止められ尊重される文化があります。実際に、私は、若手かつ外国法弁護士という立場の自分の意見が常にチームから歓迎されていると感じています。このような環境を実現するにあたっては、Diversity, Equity & Inclusion宣言をはじめとする実効的なポリシーが存在することが大きいと思います。
細谷:
西村あさひのDE&I推進の取組は、Nga先生自身のキャリアにどのような影響を与えていますか。
Nga:
多様なメンバーと協力しながら働くことにより、自分自身も新しい視点を得ることができます。また、例えば私は女性ですが、事務所がジェンダー平等に取り組み、実際に多くの女性弁護士が活躍していることは、自分自身のキャリアを開拓していく環境としてとても重要だと思います。
















