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LAWYER INTERVIEW

弁護士インタビュー

「『法の支配』を礎とする豊かで公正な社会を実現する」
という基本理念に共感

根立 隆史(68期) / カウンセル弁護士 前職:公正取引委員会

TOPIC 01

前職について

2001年から2014年まで公取委に勤務していました。公取委の仕事といえば、独禁法違反事件審査や企業結合審査を想像される方が多いかと思いますが、実は公取委の仕事の幅は結構広く、法令・ガイドライン改正、政策提言、他省庁との調整といった企画立案業務も公取委の所掌事務であり、むしろこちらの方が私の主たる仕事でした。とはいえ、事件審査の審査官として排除措置命令等の行政処分を目的とする行政調査(立入検査、取調べ等)を行ったことや刑事告発を目的とする犯則調査で実際に捜索差押許可状を執行して関係資料を押収したこともあります。その他、内閣府への出向も経験しましたし、課徴金減免申請(リニエンシー)を受け付けるというやや特殊な仕事もしました。

TOPIC 02

入所・転職理由

私が国家公務員を志望したのは、できるだけ多くの人の役に立ちたいという素朴な思いからで、中でも公取委を志望したのは、努力した人が報われる社会の実現に少しでも貢献したいと純粋に思ったからです。そして、競争政策の企画立案や違反事件の審査は、公正かつ自由な競争を保護することを通じて国民全体の役に立っていることは間違いないのですが、普段の業務でそれを実感することはあまりありませんでした。弁護士であれば、抽象的な「国民」ではなく目の前に依頼者がいますので、日々の仕事で個々人の役に立っていることを実感し易いのではないかと思った次第です。なぜ「西村あさひ」なのかについていえば、「『法の支配』を礎とする豊かで公正な社会を実現する」という事務所の基本理念に共感したためです。

TOPIC 03

担当分野、案件

事務所での業務では独禁法や下請法を主な専門としており、最近ではコーポレート分野の弁護士と協働して、国内外の競争当局による企業結合審査への対応やその前提としての企業結合届出の要否について助言を行うことが比較的多いように思います。企業結合関係以外では、依頼者が実施を検討している行為の独禁法・下請法違反リスクについての助言、依頼者の社内調査で独禁法・下請法違反が疑われる行為が判明した場合の対応についての助言、独禁法違反行為の被害者側に対する助言等、ご相談頂く案件は非常に多岐に亘ります。EU加盟国の競争当局がEU及び当該国の競争法違反の被疑事実で依頼者の欧州現地法人に対して調査を開始した事案では、欧州現地法律事務所と協働して調査に対応したこともありました。

TOPIC 04

入所して良かった点

まずは前職で時折感じていたような違和感を感じることなく仕事に打ち込むことができる点です。また、入所してから現在まで、濃淡こそあれ実に様々な案件に携わってきましたが、特に依頼者の要望に沿う形で仕事ができたときの達成感や高揚感は何ものにも代えがたいものがあります。前職での独禁法の運用はとても重要でやりがいのある仕事(事件審査では同僚との間に強固な連帯感も生まれます。)でしたが、必ずしも個別具体的な「誰かのために」を常に意識して仕事をするわけではないので、こうした達成感や高揚感を感じることは多くはなかったように思います。また、一つの案件に関与する人数が前職のときよりも少ないため、自己の裁量の幅が格段に広がった点も「良かった点」として挙げられると思います。

TOPIC 05

仕事のこだわり、
やりがい

ご相談いただいた際には徹底的に下調べをして依頼者に助言することはもちろんですが、依頼者が自ら文献等を調査することにより容易に分かるような事項よりは、むしろ文献等に記載されていない実務的な感覚等をなるべく依頼者にお伝えするようにしています。また、法的リスクの見地からは最適な提案であっても依頼者にとって実現困難な提案をしても、意義は薄いですので、法的リスクとの兼ね合いも考慮しつつ、常に依頼者にとって現実的な提案をするように心掛けています。さらに、日本の公取委が海外(特に欧米)の競争当局による競争法の解釈や運用に影響を受ける可能性もありますので、常に海外の競争当局の最新の動向をフォローし、必要に応じて依頼者への助言に反映するようにもしています。

TOPIC 06

将来の展望

将来的には欧米のローファームへの出向などを通じて欧米の競争法の実務を間近で見てみたいと考えています。私は欧米の競争法について一定の知識は有していますが、その理論や実務に必ずしも精通しているわけではありません。日本の独禁法は欧米の競争法と似たように作られているため、特に未知なる独禁法上の問題が生じた場合には日本よりも先を行くことが多い欧米の競争法上の考え方が参考になります。欧米の競争法プラクティスの現場での経験を通じて、欧米の競争法に対する造詣を深めると同時に、実務的な感覚を養うことは、日本の独禁法上の問題についてご相談を頂いた際に依頼者に対してより深みのある適確な助言を行ううえで非常に有益であると考えています。

PRIVATE

プライベートの過ごし方について

Nobody on their deathbed has ever said “I wish I had spent more time at the office.” -- Paul Tsongas
常に頭の片隅においている言葉です。後で後悔しないよう、プライベートは時間の許す限り家族と過ごすようにしています。特に幼い二人の息子たちは心身ともに成長スピードが著しいため、保育園のイベントには必ず参加するようにしていますし、息子たちと過ごす何気ない時間を何よりも大切にしています。